映画「ボーダーライン」感想(ネタバレあり)




ボーダーライン
Sicario

2015年/アメリカ
[監督] ドゥニ・ビルヌーブ
[出演] エミリー・ブラント
    ベニチオ・デル・トロ
    ジョシュ・ブローリン

あらすじ
デル・トロさんが、妻子を惨殺した麻薬カルテルのボスに復讐します。

思ってたんと違った・・。
90

 

 

「ボーダーライン」なんて間違っちゃいないが生ぬるい邦題のおかげで、FBI捜査官のエミリー・ブラントが麻薬戦争最前線で善悪の境界に揺れつつもたくましく成長する話なんだろうな~ぐらいに軽く考えてたわけですよ。
そしたらそんなありきたりの話ではなく。

ブラントさん、何の活躍も成長もなしでした(; ・`д・´) ナ、ナンダッテー!! 

 

メキシコ麻薬カルテル撲滅の特別部隊に有能だからとスカウトされたブラントさん。
が、実は部隊の超法規的行為を「法的に問題なかった」と証言するFBIの人間の同行が必要だっただけでして。
なので作戦では終始蚊帳の外、わけのわからないまま凄惨な光景を目の当たりにするわ危険な目に遭うわで大混乱。
超法規的行為の連続に愕然、許せない、暴露してやる!と憤ったりもします。

 

が、正義感の塊だったブラントさんですが自分の正義は何の力も持たず何の役にも立たないことを思い知り、どんどん絶望へと追いやられズタボロになっちゃうんですね。
非常に痛々しかったです。
もうね、ひしひしと伝わる役立たず感、有能じゃないからこそ抜擢されたのね・・と辛かったですねー。
けどヒーローにはなれないこのリアルさがとってもよかったです。
彼女は私たち観客と同じ目線、同じ立ち位置だったのかなと。
見てる私もブラントさんと同じく大混乱でしたからね。

 

で、終始悶々としているブラントさんを後目に、おじ様達(ジョシュ・ブローリンとベニチオ・デル・トロ)の余裕さよ!!


※年々渋くなってくのはなんやねん・・!このイケオジめ!!

ジョシュ・ブローリンはひょうひょうとして食えない感じがあって、そこがまた経験と余裕を感じさせてかっこよかったわー。

 


※見つめられたらおそらく妊娠します。

そしてデル・トロさん。
お前が主役やったんかーい!!

いやね、おかしいとは思ってましたよ。
抑えた演技ながらも尋常じゃない威圧感と眼光の鋭さ。
どう見てもブラントさんが添え物にしか見えなかったもの。
そしたらデル・トロさんは元検察官で現在暗殺者、惨殺された妻子の復讐遂行のためにCIAに飼われてるとな・・!!

そういえば映画冒頭でご丁寧に「シカリオとは暗殺者のことで・・」って説明があったよなー。
原題「Sicario」じゃん(気づくの遅すぎ)。
生ぬるい邦題のせいでスルーしちゃってたやないかい!!(# ゚Д゚)プンスコ!!

 

そして後半デル・トロさん怒涛の復讐劇。
復讐相手の妻子を瞬殺しちゃう徹底した冷酷さには固まっちゃったけど・・うん、やむなしかな。
だって自分の妻は首切断、娘は酸のプールに入れられての惨殺ですよ。
もうその時にデル・トロさんの心は死んじゃったわけで。
復讐のために空虚なまま生きてきたんですもんね。
ここで復讐相手の妻子を見逃してたら、それこそ生ぬるい作品になってたよなー。
なんかモラルの低い発言ですけどね。

けど全てを納得させちゃうデル・トロさんの演技が凄まじかったんですよ。
本当素晴らしかったです。
デル・トロさんの演技だけでも見る価値あると思いました。

 

生ぬるい邦題のせいで(3回目)ありきたりな作品かと思ったら、いい意味で思ってたのと全然違う作品でした。
すごく真面目な作品で、リアル感が半端ないため最初から最後まで緊張感が凄まじいです。
すごく疲れたけど、見てよかったと思える作品でした。

麻薬戦争に関しては全くの無知なため、作品を見ていて理解が追いつかなかったところもあります。
善悪の境界だとかそんな次元の話じゃないくらい、凄惨で残虐な世界なんだろうくらいしか私はわかってないかも。
完全に他人事&平和ボケですよね。
もうちょっと世界で起きてることを勉強しなきゃなと思った次第であります。
と真面目なことを書きましたが、ボーダーラインの続編が公開されたんですね!!
見たい!デル・トロさんが見たい!!

けど私の住んでるとこの映画館、上映しないでやんの(・д・)チッ


これだから田舎は・・。
私の命綱のdTVに出るまで待つとします。